日本と中国の地震に思いをこめて
2011年３月11日の朝，TVで雲南省盈江であった地震（M5.6）が伝えられ，その日の午後には，東北の地震と津波を伝えるTVニュースがくり返し流されていました。

 

　先週，「追悼の会」がありました。３月11日の朝，起きてみると，テレビ（CCTV）で雲南省盈江（Yingjiang）県で前日に発生したＭ5.6の地震のニュースを伝えていました。そして，その日の午後，日本の東北地方で発生した地震のニュースが伝えられました。

　この日本の地震のニュースは中国でも連日大きく取りあげられ，現在でもニュースで取りあげられています（今は米英仏国などによるリビア攻撃のニュースが多いです）。

　福島第１原発の放射能に関するニュースも多いですね。日本のニュースでも放送されたと思いますが，メールなどでデマ ── 海水が放射能に汚染されて塩が食べられなくなる（使えなくなる），塩に含まれるヨウ素が放射能対策には有効などというものです。中国の塩にはヨウ素が添加されていることが多く，小生のところにある塩袋にも"加碘食用盐"（碘はヨウ素の意で，ヨウ素を添加した食用塩） ── が流され，塩の買い占め騒ぎもおこりました。社会不安を煽ったということで，こうしたデマメールを流したひとが当局に逮捕されたというニュースも後日流れました。

　学校の関係者や学生からも「家族は大丈夫でしたか？」と声をかけられることが多かったです。日に日に死者・行方不明者の数が増えていくなかで，日本語を学ぶ学生たちが中心になって，日本の地震で亡くなった人たち，雲南の地震で亡くなったひとたちの「追悼の会」が開かれました。

　みんなで「孔明灯」に明かりをいれ，ハート型にかたどったローソクを囲んで黙祷をおこない，「愛は心のなかに」（というタイトルだったと思います ^^;）という歌をうたい，冥福を祈りました。

　つい数ヶ月前には例の尖閣諸島の事件で「反日」の声が激しかったのがウソのようで，その声がいっせいに「親日」の声にかわったかのようです。「どちらがホントなの？」と思いたくなりますが，尖閣諸島の「反日」に対する日本の報道は「反日を誇張しすぎ」ているように思えますね。

　「政治は政治」であって，中国の一般のひとたちは，「中国で反日運動がおきてるけど，大丈夫なの？」と心配して小生の友人などが連絡してくれたほど「反日」ではありません。
　少なくとも，小生のまわりにいた中国人はそうでした。日本で報道されていたほどではありません。

　「追悼の会」を開いてくれた中国人学生や参加していた中国人学生の深い心の裡まではわかりませんし，それが何らかの「政治的意図」を持ったものとも思いたくはありません。小生自身や家族が被災したわけではありませんが，日本人のひとりとして素直にその敬意，哀悼の意に深く感謝したいと思います。その中国人学生たちの心が遠く東北の地に届いてくれればうれしいですね....。

　孔明灯は紙製の四角い提灯（？）の下にある固形燃料（？）のようなものを燃やして「灯り（提灯）」にするものです。四角い紙袋を逆さまにして下で火を燃やすので，紙袋は大きく広がり，小さな小さな熱気球のようになります。もちろん手を放せば，そのまま空高く舞い上がっていきます。

　火のついた提灯を空に飛ばせば火事の危険があるので飛ばすのは禁じられているそうですが，それでも何人かの学生が手を放してしまい，数個の孔明灯が夜空に舞い上がり，暗い空にポッと点けた明かりのようで，まるで死者の魂が天高く，折からの満月に近い月の横を通って天国に向かってのぼっていくように見えました....。

* 孔明灯の写真を撮るのを忘れてしまいました。Wikipedia に同様の写真と解説がありましたので，そちらをどうぞ ^^;