８月６日，ヒロシマ「原爆の日」，1945年にアメリカによって落とされた原爆....記念式典では1971年以来，43年ぶりの雨のなかでの開催だそうです。小生は「黙禱」の８時15分に間に合わせて，原爆ドームへの道を急ぎました。
広島の平和公園に来たのは26年前に一度だけ....そのとき原爆ドームは見たんだろうか？見たような見ていないような....そんな思いがあって，「原爆の日」に合わせて，久しぶりに広島にいってみました。前日に広島に入り，記念式典の準備に追われる平和公園を向かいに見ながら，元安川の左岸に沿ってまずは原爆ドームへと向かいました。空といえば，今にも雨が降り出しそうな灰色の雲が広がっています。
川に沿った遊歩道は多くのひとでいっぱいです。外国人観光客の姿も多く見られます。元安橋に近づいた頃，雨が降り出しました。原爆ドーム....やはり平和記念公園には来たけど，ここには来ていなかったような気がしてきました。平和記念資料館には入って，なぜここには来なかったのだろう....？
世界遺産 原爆ドームの回りでは，いろいろな団体が集会を開いていました。日蓮宗（か，その関連宗教団体か）の僧侶が雨が降る中，「南無妙法蓮華経」の幟を掲げて，原爆ドームに向かって読経し，その近くでは，連合の労働組合団体でしょうか（でしょう），拡声器で演説をし，町中では右翼の街宣車が走り回っています。
「原爆ドーム」は人類史上初めて使用された核兵器の惨禍を伝える建造物（旧広島県産業奨励館）。時代を超えて核兵器の究極的廃絶と世界の恒久平和の大切さを訴え続ける人類共通の平和記念碑といえる（「世界遺産センター」に拠る）。
８月６日，ヒロシマの「原爆の日」，記念式典では1971年以来，43年ぶりの雨のなかでの開催だそうです。小生は，「黙禱」の８時15分に間に合わせて，原爆ドームへの道を急ぎました。原爆ドームの周辺には多くのひとが集まり，昨日と同じような光景が繰りひろげられています。
某宗教団体のひとたちが「南京大虐殺はあったのか」というような本をタダで配布していたり（小生は受け取りませんでしたが ^^;），昨日，「フクシマ原発事故」について訴えていた拡声器を載せた車に右翼が怒声を浴びせて抗議したり，連合（でしょう）の集会に別の右翼が「恥ずかしくないのか！」と抗議の声をあげて阻止しようとしたり....さまざまな訴え・演説・怒声・罵声の声が原爆ドームの周辺に響きわたるなか，時計の針は８時15分になろうとしています....「黙禱」の声があがり，このときばかりは，さまざまな声や音がやみ，１分間の静寂が訪れました。
今年の平和記念公園の記念式典会場には「原爆投下国アメリカ」のケネディ駐日大使も参加したそうです。新聞報道によれば，「祈り」はしたが「謝罪」はなかったといいます。
「原爆の日」の前日に，広島城に立ち寄ったのですが（護国神社もあります），そこから何とかいう右翼団体がデモ行進を始めました。デモ行進には右翼団体の車に警察車両が続いていましたが，この車の後ろに「誠」なんて文字のステッカーが貼ってあったので，これもてっきり右翼の車かと思ったら，警察の車でした ^^;
何とはなしにこのデモ行進の訴えを聞いていたら，「慰霊碑の文言を改めよ」という訴えがありました。慰霊碑には，
安らかに眠って下さい
過ちは
繰返しませぬから
とあります。が，その「主語は何か？」ということでした。彼らは「原爆犠牲者が過ちを犯したから死んだのか。そうではないだろう」と訴えているのです。碑文の説明には「すべての人びとが，原爆犠牲者の冥福を祈り，戦争という過ちを再び繰り返さないことを誓う言葉である」とあり，これが広島市の公式見解になっているようですが，異論も多くあるようです。
日本が原爆について語るとき，いつも「被害者」の立場で語ることが多いような気がします。「加害者」についての責任追求はいつもうやむやです。アメリカは「原爆の投下により，戦争を早期に終結させ，多くの米軍兵を死なせずにすんだ」などといっているようですが，そのためにヒロシマやナガサキに原爆を投下し，合わせて20数万人（その後に「原爆」によって亡くなったひとを含めると約38万人ともいわれています）の多くの民間人を殺す必要があったのでしょうか。「原爆を投下」しなくても，当時の日本はすでに「死に体」であり，降伏も時間の問題だったはずです。
それに対して，日本の「南京大虐殺」についてはいつも「30万人（東京裁判では10-20万人などとされています）を虐殺した」と非難されています。小生は「南京大虐殺」を正当化するつもりはありません（「なかった」などと，不誠実な態度を取らず，何万人が殺害されたかは別にして，これについては日本は真摯な態度でのぞまなければなりません）。しかし，それに匹敵する「原爆による広島・長崎の大虐殺」の非人道的行為でアメリカは非難されるべきであり，アメリカも真摯な態度でのぞむべきでしょう。
「勝てば官軍」，何でもアリというのはいただけません。もっとも「世界の憲兵」よろしく，他国の紛争に介入して多くのひとを殺害しているのに，ニューヨークのビルに旅客機が突っ込んで死傷者が出ただけで，また新たな戦争を仕掛け，民間人を含む多くのひとを殺しているアメリカにそんな態度は望むべくもありませんが....。
43年ぶりの雨に煙るヒロシマの町をあるいていると，雨の一粒一粒が原爆でアメリカに殺されたひとたちの怨嗟の涙のようにさえ思えてきます。
原爆ドーム 原爆ドームとよばれている建物は1915（大正４）年に「広島県物産陳列館」として建設され，市内随一の優美な建物として市民に親しまれていた。この建物西側のＴ字型をした珍しい橋（相生橋）が原爆の投下目標になったといわれている。
エノラ・ゲイ号 B29爆撃機「エノラ・ゲイ」号は1945（昭和20）年８月６日，日本時間の午前１時45分，テニアン島を出発。この時，原爆の破壊力の測定機材投下用と写真撮影用の飛行機が同伴していた。テニアン島から広島までは約2740km，片道６時間30分の飛行だった（B29の最高時速は585km/h，航続距離9350km）。
ボックスカー号とファットマン ８月６日にテニアン島で組み立てられた原子爆弾（プルトニウム爆弾）「ファットマン」を積み込んだ「ボックスカー」号は小倉を第１目標に，長崎を第２目標として，８月９日，小倉上空に達したが，焼夷弾による煙などのため投下を断念，第２目標の長崎に向かい，午前11時２分，原子爆弾を約21万人が暮らす浦上地区上空に投下，原爆は長崎市北部の松山町の上空約500ｍで炸裂した。死者約74,000人，負傷者約75,000だった。